「心房細動と診断された患者様へ
心房細動は、自覚症状がある患者様と、自覚症状がない患者様がやく半々の割合となっております。自覚症状がある患者様は、治療に対して前向きな方が多いのですが、自覚症状が少ない方は、治療や通院に消極的な方が多く、ご本人様が気づかない間に、病状が進行し、脳塞栓症や心不全といった致死的な状態まで進んでしまうことが多いとされています。また自覚症状の有無にかかわらず、心房細動は進行していき、発症から5年程度で、治療が無効な状態にまで進行してしまいます。ごく初期の段階では薬物治療が有効ですが、一定の進行が見られたら後は薬物治療への反応が乏しくなり、根治を目標としたカテーテル治療の適応となってきます。しかしながら、5年から10年程度の期間、心房細動が持続したままですと、心臓に組織的な変化が生じ、薬物治療・カテーテル治療のどちらを行っても、心房細動の停止が難しくなります。そのため、可逆的な段階での心房細動への介入が大切になります。また、心房細動の治療には、脳梗塞の予防を目標としたもう一つのとても重要な柱があります。心房細動と診断された患者様は、是非一度、当院に受診いただき、適切な診断と治療方針を一緒に探していければと考えております。
動悸、脈の乱れの自覚がある患者様へ
動機や脈の乱れは、さまざまな病気や原因から起こってまいります。医学的には治療の必要が無い軽症の疾患から、ストレスによる精神的な理由でも症状が起こることも多くあります。しかし中には、心房細動、心室頻拍といった、放置すると不可逆的な進行をきたす場合や、稀ではありますが致死的な病態となる場合もあります。そのため、「動機や脈の乱れ」を自覚する患者様は、是非一度、専門の医療機関を受診いただき、その症状が放置してよいものなのか、今後の進行を抑えるために治療が必要なものなのかを判断していただくのが重要と思います。
健康診断で不整脈を指摘された患者様へ
健康診断で不整脈を指摘される患者様は、多くが無症状と思われます。しかし、多くの不整脈は無症状であり、症状を自覚した際は、すでに重症な合併症が発症した後や、病状が進行し代償が不可能な状態まで進行した場合などがあります。それらの場合は、多くは入院が必要となりますが、一度病状が進行すると、もとの状態まで回復することは非常に難しくなります。健康診断で異常がみられた際は、自覚症状のみにとらわれず、是非当院を受診いただければと思います。また、受診の際は、過去にさかのぼった健康診断の結果も持参いただけるとより正確に病態を把握できます。健康診断で見つかった異常は、たとえ治療が必要であっても、治療が不可能なほどまで進行していることは少なく、治療の効果が期待されます。そのため、不安にならずに、いらっしゃっていただければと思います。
ご家族・お知り合いの方に不整脈の指摘がされた方へ
不整脈の患者様は、自覚症状が無い場合には、そのうちの多くは医療機関の受診がなされません。そのため、病状が進行する危険があります。しかし、不整脈の中でも最も頻度が多いとされる「心房細動」は、重症脳卒中の最も多い原因のひとつでありますし、稀ではありますが、一見健康な方の中に重症な不整脈の発作を起こす方が、一定数含まれております。あなた様の大事な方が不整脈をお持ちで医療機関の受診が無い場合は、是非一度、当院を受診いただき、治療が必要か、経過観察可能であるかを判断させていただければと思います。